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令和元年度山形大学卒業生、修了生のみなさんへのお祝いメッセージ

山形大学長 小山清人

 令和元年度山形大学卒業生、修了生のみなさん、卒業ならびに修了、誠におめでとうございます。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、本学では、学位記・修了証書授与式の中止という苦渋の決断をしました。卒業生・修了生のみなさん、ご家族のみなさま方におかれましては、人生の節目を記念するこの式典を心待ちにされていたことと存じます。私も、みなさんに直接お祝いの言葉を伝えることができず、大変残念に思います。

 式典は中止となりましたが、山形大学を代表して、卒業生・修了生のみなさんのこれまでの努力とその成果に心からの祝意を表するとともに、新たなステージに進まれるみなさんにメッセージを送りたいと思います。

 さて、卒業生、修了生のみなさん。みなさんが、社会人として過ごしていくこととなる「令和」という時代は、どういうものになるでしょうか。

 これからの時代は、5G通信や人工知能といった高度情報技術や、ロボット等の科学技術の普及が急速に進み、仕事も、日常生活も、今までよりもさらに速い速度で変化していくことでしょう。加えて、少子高齢化や貧困問題、地球環境問題等、さまざまな難問にも直面しています。そして、まさに今起きている、新型コロナウイルスの感染拡大という問題は、世界中を混乱に陥れており、その影響の全貌はまだ見えていません。

 これからの社会を支えていくこととなるみなさんには、今回のように、これまで想像してこなかったような問題が突然立ちはだかるかもしれません。このような予測がつかない将来に対して、漠然とした不安を抱えている方もいることでしょう。

 しかし、不安に思う必要はありません。みなさんは、この山形大学での学生生活の中で、課題の見つけ方、課題解決へのアプローチの方法を学び、研究成果のまとめと発表を経験してきました。この経験により、すでに問題解決への考え方を身につけているのです。

また、友人や教職員、留学生、地域の方など、様々な人との交流や共同作業を通して、自分とは異なる考え方や価値観と接する経験をしてきました。この経験により、他者を理解し、尊重する能力を身につけているはずです。

山形大学で学んだ専門分野が、役に立たないと感じる仕事に就くこともあるでしょう。しかし、大学での学びの全ては、みなさんが社会人として生きていく上で必ず役に立ちます。「課題を解決していく過程を考え抜く力」と「他者を理解し、共に働く力」は社会人として常に求められる能力なのだと、覚えておいてください。

 そして、学ぶことは、これで終わりではありません。むしろこれからが、学びの本番です。時代の変化を恐れず、山形大学で身につけた学びの基礎を大切にしながら、常に変化しつづける社会の先を読み、未来を切り拓いていってください。
 みなさんなら、予想もつかない社会変化にも柔軟に対応し、より良い、幸せな社会を築いていくことができると、信じています。

 私はこの春に、学長任期6年間を終えて、皆さんと一緒に「卒業」します。
 学生時代から52年、山形大学とともに過ごしてきました。その中で感じてきた山形大学の変わらぬ「良さ」は、学生たちが真面目で誠実で、忍耐強いということです。このことに誇りを持てずにいる学生が多いようですが、これはとても素晴らしいことなのです。私は社会に出たときに最も大切な特質だと思っています。英語では「integrity」と言い、海外の企業でも第一に求められます。
 みなさんには、周囲の人を尊敬し、信用するとともに、周囲の人に愛され、信用される社会人になってほしいと願っています。信用の担保は、誠実さ・真面目さです。失敗してしまうこともあるでしょう。失敗をしてしまったら、誠実に、真面目に、失敗と向き合ってみてください。困難に立ち向かい、そこで失敗した時に得られる知恵は、みなさんの財産となります。

 今年度創立70周年を迎えた山形大学には、10万人を超える卒業生がいます。多くの同窓生が、これから社会に出て活躍されるみなさんを待っています。みなさんも、今まで見守ってくださった先輩方と同じように、これからもどうぞ山形大学を愛し、末永く支援してくださることを、心より願っています。

 みなさんが素晴らしい人生を送られることを祈念して、私のお祝いのメッセージとさせていただきます。

令和元年度(2019年度) 卒業・修了者数

 学部大学院

養護教諭
特別別科

山形地区 939 139 38
米沢地区 642 313  
鶴岡地区 155 32  
合計 1,736 484 38