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2019年 年頭のごあいさつ


 配布資料は、こちらをご覧ください。

1. 新年を迎えて

 明けましておめでとうございます。
 山形大学の役職員のみなさんにおかれましては、健やかな新年を迎えられたことと存じます。

 さて、世界に目を向けますと、地球全体として国家主義が強くなりつつあります。アメリカと中国の関係、イギリスのEUからの離脱、移民の問題などがその例です。そんな中で、世界の経済成長は鈍化しはじめています。これに対して、科学技術は急速に進んでおり、IoTや人工知能、ロボットなどの社会実装も、世界中で大きく進展しています。
 国内に目を向けますと、安定した政治情勢とゆるやかな経済成長があります。しかし、経済成長の点では、ひとびとの実感までには至っていません。一方で、外国人観光客や外国人労働者の増加などに象徴されるように、グローバル化が進んでいます。そして、多様な人材の活用や働き方改革などが社会の重要課題とされています。

 

2.国立大学をとりまく情勢

 このような国内外の不安定さに伴い、国立大学への期待が大変高まっています。それが逆に国立大学へのきびしい批判の声となって現れています。
 若者の価値観が変わってきており、必要な知識や考える手段にも変化が見られます。知の体系を作り、それを次の世代に伝えるという大学の姿が大きな転換期を迎えようとしています。
 ところで、来年度の国の予算が閣議決定されました。国立大学にとって安定した収入であり、人件費に使える基盤的運営費交付金は、今年度よりも10%、つまり1千億円の減少であります。そして、減額分と同額の1千億円が各国立大学の評価結果に応じて配分されます。配分には二つの方法があります。一つは各大学が定める評価指標による予算額で300億円。もう一つは共通の評価指標による予算額で700億円です。その共通の評価指標は、5つあり、会計マネジメント改革、外部資金の獲得、若手教員の比率、引用度トップ10%の論文数、人事給与・施設マネジメントとなっています。

 

3.2019年の山形大学

 そのような大学をとりまく情勢のなかで、今年の山形大学の行動方針についてお話します。

経営面について
 山形大学では、キャンパスの自立化を目指しています。学生のためのより良い教育と研究を実施することが目的です。それには、なるべく学生の近くで経営判断することが重要となります。そうすることによって、キャンパス毎の学生のニーズにあった教育と研究ができます。それぞれのキャンパスがそれぞれの特徴を活かし、いきいきとしたキャンパス経営をすることによって、山形大学全体の特徴を出せると考えています。
 今年も、学長の権限をキャンパス長に移管することを進めます。その一つの例として、4月から教員人件費管理をキャンパス長に移管します。これによって、各キャンパスの経営の自由度を高めます。
 また、新しく財務会計規則などを定めました。法人化後、国の会計システムと企業会計システムの両方が混在した形で進んできています。4月から施行する新しい財務会計規則によって、企業会計手法を主とした効率的な経営を行います。規則の目的には「法人の経営状況及び財政状態を適時適切に把握し,健全な経営を図る」と定めました。
 働き方改革について、従来からの仕組みにとらわれない改革をさらに進めてまいります。具体的例としてはテレワークなどの柔軟に仕事ができるような取り組みを導入します。
 すべての教員が所属している学術研究院の考え方も定着しつつあります。それと同時に、教育ディレクター制度と研究ディレクター制度を整備しました。これらの制度は、順調に機能しており、今後は、各ディレクターのより一層の活躍により、教育と研究の両面でさらに飛躍できると確信しています。

教育と研究について
 人生をたくましく生き抜くための人間力を、山形大学の学生につけてもらいたい、という目標に向かって、教職員のみなさんに頑張ってもらっています。具体的な教育改革の例として、基盤教育のスタートアップセミナーの改革や基盤力テストがあります。これらをさらに充実させていく事が必須です。
 大学院改革については、学内の議論がまとまりつつあります。文部科学省との意見交換をしながら、実現に向かってみなさんのご尽力をお願いします。
 附属学校のあり方についても議論をしています。今年は、具体案を作成し、山形県と文部科学省との意見交換のステージにもっていきたいと考えています。
 入学試験に、来年から新しい大学入学共通テストが導入されます。このように制度が大きく変わるときには、混乱が起きる可能性があります。できるだけスムーズに実施できるように準備するとともに、安定して入学者を確保できるようにしなければなりません。
 研究に関しましては引き続き、学問の自由を確保すべく努力するとともに、研究拠点のさらなる充実に努めます。研究戦略会議の活用によって、科学研究費補助金をはじめとする外部資金の受け入れを増やしていけると期待しています。
 また、研究成果の発信と普及に力を入れていきます。教職員のみなさんにおかれましても、山形大学の教育と研究成果の積極的な発信にご協力下さい。4月から教員評価の新システムの運用を開始します。評価をシステム化することによって、教職員の負担を軽減しつつ、研究成果の発信にもつなげていきたいと考えています。

4. 仕事の仕方

 今年は法人化して15年目を迎えます。法人化後に本学の教職員となった人数も教職員全体の4割程度になっています。教職員のみなさんの仕事に対する考え方も公務員時代とは異なってきています。しかし、実際の仕事の仕方には、公務員時代の習慣がまだまだ色濃く残っています。みなさんの周りに、ごく当たり前のように、「昨年までやってきたから今年もやる」とか、「他大学でやっているから我々もやる」という意識で仕事をしている人はいませんか。目の前の業務は学生のためになるのか、真に必要なのかを考えてください。勇気をもって、業務量を減らしていきましょう。それによってできた余裕で、新たなことにチャレンジして欲しいのです。新しいことをやるには失敗がつきものです。失敗を恐れずに挑戦をしてください。

 

5. おわりに

 今日配布した資料の裏側にありますように、山形大学には三つの使命があります。「地域創生」、「次世代形成」、「多文化共生」の三つであります。「地域創生」は世界のモデルとなるような豊かな地域社会を作ることです。「次世代形成」は地域の、日本の、さらには世界の幸せな次世代社会を形成できる人材を育成することです。そして「多文化共生」は、多種多様な文化や環境、考え方を理解し、ともに良い社会を作ることです。
 本年もより良い山形大学を目指して、ともに楽しく仕事に励みましょう。