ホーム > 大学紹介 > 学長室だより > 平成29年度卒業生に対する告辞

平成29年度(2017年度) 卒業生に対する告辞

 本日、博士、修士ならびに学士の学位を授与されたみなさん、修了・卒業、おめでとうございます。
 また、ご列席のご家族のみなさん、今日のこの佳き日を迎えられましたこと、誠におめでとうございます。山形大学を代表して、心からお祝いを申し上げます。

 修了生、卒業生のみなさんの心は、学位を手にした充実感に、そしてこれから始まる新生活への期待や不安に満ちていることでしょう。

 山形大学での学びを振り返りますと、みなさんは、基盤教育では、人間力とスキル、つまり未来の社会で生き抜く力を学びました。専門教育、ゼミや卒業研究などでは深い専門知識の習得と同時に、原理原則の考え方を身につけました。さらに、知識の使い方、新しい事柄を作り出すときの考え方や方法も習得しました。そして、何より、一生、学び続ける習慣が身についています。
 大いに自信を持ってください。

 これからの社会は、「人生100年時代」と言われています。医療の進歩によって、平均寿命は10年ごとに2歳ずつ伸びています。みなさんが私の年齢になる頃には、平均寿命が95歳になると予想されます。また、平均寿命とともに健康寿命も伸びています。現在は、定年年齢は60歳が普通ですが、みなさんが60歳になる頃には定年という考え方が無くなっているかもしれません。そして、一生を一つの職業のみに従事する人は少なくなるでしょう。

 こんな将来の社会を不安に思うかもしれませんが、その必要はありません。
 若者の特権は、「未知への挑戦」と「柔軟性」の二つの言葉で表せると考えています。
 人口減少、健康寿命の伸びや科学技術の変化を先取りし、新しい社会システムを創造するには、今までの常識ではできません。常識を越え、次の常識を作り、新しい社会を築くのは、未知への挑戦力があるみなさんだからこそできることなのです。そして、それは、みなさんの世代の役割でもあります。

 中には先頭を走るのは得意でないという人がいるかもしれません。しかし、柔軟性を備えています。社会の常識や価値観の急速な変化に対して、柔軟な頭で、柔軟な身体で対応できます。そのスピードが若者の得意なところです。AIやロボットの普及によって職が無くなるという意見もありますが、心配することはありません。新しい仕事を作り、その新しい仕事を楽しみましょう。
 みなさんは、人生100年時代をたくましく生きていけると確信しています。
 将来に「夢」をもって、みなさんの手で、楽しく、魅力ある社会を作ってください。

 さて、みなさんは、これから新たな人生への旅立ちを迎えます。私から、みなさんにこれからの人生で大切にして欲しいことを、2つお話しします。

 1つ目は、「自分の頭でしっかりと考えて判断して欲しい」ということです。

 みなさんが目にする数多くのニュースや映像は、世の中の出来事のごく一部を切り取ったものです。短時間のごく一部の出来事があたかも世界を代表する情報であるかのように、世の中を駆け巡っています。そのことを理解せず、一部の情報だけを自分の判断材料とするのは、とても危険です。できるだけ広い視野で、見て、聞いて、その情報の背景を考える癖をつけましょう。そして、現象の全体像をイメージしてください。その全体像から、何が起きていて、ニュースや映像は何を言いたいのか、あるいは何を言いたくないのかを考えましょう。その上で、自分の考えをまとめ、判断し、行動しましょう。情報に振り回されるのではなく、情報を自分が考えるための1つの材料とするのです。

 2つ目は、「常に一歩先を予測して行動して欲しい」ということです。

 科学技術の普及により、生活や社会が大きく変わってきています。1つの例を挙げると、この会場にいる卒業生のみなさんのほとんどは、スマートフォンを持っていて、いわゆるガラケーと呼ばれる携帯電話を持っている人は少ないと思います。20年前の卒業式では、卒業生はスマートフォンはもちろんのこと携帯電話も持っていませんでした。言い換えると、携帯電話の寿命は20年程度だったということです。10年後には、スマートフォンの時代も終わっているでしょう。このような変化は今後、ますますスピードアップするでしょう。今までの常識が、次の年には常識でなくなるというように、生活や仕事だけでなく、価値観や社会構造なども大きく、しかも短期間で変化する時代がやってきています。みなさんには、常に一歩先を予測して行動して欲しいと思います。

 さて、社会はみなさんの活躍を待ち望んでいます。若い力で、活気溢れる未来を切り開いてください。 

 時には、生きることに、仕事をすることに、悩むこともあると思います。そんなときは、ためらわずに山形大学を訪問してください。山形大学の教職員は、いつでもみなさんの相談相手になります。また、原理原則に迷いがでたとき、新しい仕事を始めるときにも山形大学に戻ってきてください。その時代において必要な原理原則や最先端の学問を学びなおしましょう。

 最後に、山形大学で学んだことに「誇り」を持って生きてください。みなさんの活躍を祈念しまして、私の告辞といたします。

平成30年(2018年)3月23日 山形大学長 小山清人

平成29年度(2017年度) 卒業・修了者数

 学部大学院養護教諭特別別科
山形地区 934 144 38
米沢地区 597 293  
鶴岡地区 161 30  
合計 1,692 467 38