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最近読んだ本から

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著者 太田 省一(おおた しょういち:社会学者・文筆家)
著書 すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった
出版社等 筑摩書房、ちくま新書1586、2021年7月10日、277ページ
一言紹介

タモリ、ビートたけし、明石家さんまは、1970年代に衝撃的なデビューをし、社会を「笑う社会」へと変貌させる。80年代、一億総中流の時代で「同質性の笑い」が求められ、旗手である‘お笑いビッグ3’は尊敬の対象ともなる。90年代にはウッチャン・ナンチャンやダウンタウンに代表される「お笑い第3世代」が台頭する。第3世代は、ビッグ3によるお笑いの破壊をさらに進め、再構築を目指す。2000年代に入ると、ダウンタウンの松本が中心となり、その後漫才ブームを引き起こす‘M-1 グランプリ’が開催される。現在まで続くM-1 グランプリでは、漫才の有り様が常に問いかけられる。著者は、活躍中の「お笑い第7世代」は、「相対性の笑い」を追求しており、現在は「同質性の笑い」からの転換期ではないかという。ところで、第7世代はどうしてこう呼ばれるのだろうか。‘G7サミット’にあやかっていると示唆されるのだが。著者は、お笑いの歴史を振り返ることで、社会を理解しようと試みている。
(2021年8月)

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著者 凪良 ゆう(なぎら ゆう:作家)
著書 流浪の月
出版社等 東京創元社、2019年8月30日、314ページ
一言紹介

2020年度本屋大賞を受賞したベストセラー作品。身体的な事情により、‘大人の男’になり切れない‘文(ふみ)’と、父親の死別後に母親も去り、叔父・叔母の家で育てられた‘更紗(さらさ)’の物語。孤独な19歳の大学生文は、同じく孤独な9歳の小学生更紗と出会い、いつしか文のアパ―トで数か月を過ごすことに。あるとき、動物園に行った際、行方不明者として手配されていた更紗は見つかり、文は逮捕されてしまう。文は刑務所に、更紗は児童養護施設に。そして15年の時が経ち、カフェのマスターとなった文と、アルバイトをしている更紗は再び出会う。そしていつしか、文と更紗は再び共同生活をし始める。しかし、どこへ行っても15年前の事件が二人を付きまとう。でも二人は、一緒にいることを決意する。つい最近、この物語は、広瀬すずと松坂桃李の主演、監督李相日による実写化が決定した。
(2021年8月)

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著者 イシグロ カズオ(Kazuo Ishiguro:作家、2017年ノーベル文学賞受賞者)
著書 クララとお日さま
出版社等 早川書房、2021年3月21日、440ページ
一言紹介

ノーベル賞受賞後の第1作。AF(人工友人)クララと少女ジョジーの物語。クララは第2世代のAI(人工知能)ロボットで、ジョジーに購入される。クララは良き友人になろうと日々努力するも、病気のジョジーの体調は悪化する一方である。隣に住む友達の男の子リックは、ジョジーを励まし続ける。ジョジーの母親は、娘の万が一のことを考え、クララをジョジーに仕立てる考えを持っていた。しかし、ジョジーは奇跡的に体調を持ち直し、無事、大学へ進学する。そして、仲の良かったリックも、独立した道を歩むことになる。残されたクララは他のAIロボットも集められた廃品置き場へと移される。人類はAIロボットをどう使いこなせるのだろうか、どう付き合っていけるのであろうか、これからの大きな課題である。なお、‘お日さま’は、クララに活動のエネルギーを与え、ジョジーを奇跡的に復調させる役割を担うものとして描かれている。
(2021年8月)