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キャンパスから

(No. 11:2022年6月10日)

大学の施設を‘イノベーション・コモンズ’に

 小白川キャンパスの陸上競技場(グラウンド)の改修が完了したのをうけ、先月(5月)29日(日)、真っ青な空の下、オープニングセレモニーと記念イベントが行われた。今回の改修では、陸上競技場のトラック部分はイタリアのモンド社製の合成ゴムシート系全天候舗装(通称モンドトラック)となり、インフィールド部分はロングパイル人工芝仕様で整備された(写真1)。以前とは比べものにならないほど良好な状態で競技を行うことができ、かつ快適な状況下での利用時間・利用期間も相当程度長くなるものと思われる。

 オープニングセレモニーには、この整備事業の実現に尽力された方々と、今後大いに利用するであろう近隣の小中学校の校長先生や、地域の代表の方々も招待された。そして、本学附属小学校と附属特別支援学校の生徒も加わったテープカットでは、大西彰正小白川キャンパス長から高らかに施設の「コモンズ化宣言」がなされた。

 さて、このオープニングセレモニーに、なぜ近隣住民の方々が招待され、テープカット時になぜ「コモンズ化宣言」が行われたのかであるが、これについては説明が必要かもしれない。

 グラウンドは本学の施設ではあるが、今回の整備は地域の人たちへの開放を前提としたものであった。大学は地域発展のために中心的な役割を担うべきであるとの考えから、大学を「イノベーション・コモンズ(innovation commons)」化しようとする施策が進行中なのである。

 ‘イノベーション’とは「技術革新」のことであるが、「それまでとは違った状況・状態にすること」として使われている。‘コモンズ’とは誰もが利用できる「公共のものや場所」のことである。これらの語を二つ合わせることで、「革新をもたらすための公共の施設や場所」を意味し、それらの意味を込めて「共創拠点」と表現している。

 昨年(2021年)3月26日に閣議決定された「第6期科学技術・イノベーション基本計画」の中で、「国立大学法人等の施設については、キャンパス全体が有機的に連携し、あらゆる分野、あらゆる場面で、あらゆるプレーヤーが共創できる拠点『イノベーション・コモンズ』の実現を目指す」と謳われた。そして、「国立大学法人等が自ら行う戦略的な施設整備や施設マネジメント等も通じて、計画的・重点的な施設整備を進める」とされた。

 これを受けて文部科学大臣は、2021年度から2025年度までの5か年に対する「第5次国立大学法人等施設整備5か年計画」を2021年3月31日に決定した。この中で具体的な「イノベーション・コモンズ」のイメージを提出するとともに、国立大学法人等の施設整備は、「キャンパス全体をイノベーション・コモンズへ」をキャッチフレーズとして行うこととなったのである。

 小白川キャンパスでは今年度も引き続き、陸上競技場の西側にある野球場やテニスコートなども改修されることになっている。ハード面での整備終了後は、適切な運営というソフト面での整備を行うことで、これらの施設が当初の目的であるイノベーション・コモンズとしての役割を十分に果たすことが本学の役目である。

【参考資料】
文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室、2021:『共創』の拠点としてのイノベーション・コモンズの実現に向けて、公表資料、2021年4月23日.
(URL: https://www.nii.ac.jp/event/upload/20210423-03_Mext.pdf

写真1.整備改修された小白川キャンパスの陸上競技場(グラウンド)。直線トラックはほぼ南北方向に走っている。2022年4月14日撮影(本学施設部提供)。の画像
写真1.整備改修された小白川キャンパスの陸上競技場(グラウンド)。直線トラックはほぼ南北方向に走っている。2022年4月14日撮影(本学施設部提供)。