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キャンパスから

(No. 19:2023年2月10日)

 教職員研修について

 2月1日(水)に開催された教育研究評議会において、個人情報保護を担当する私と、情報セキュリティを担当する矢作理事の連名で、これら2つの事項に関して全教職員に対する研修を行うとのアナウンスを行った。研修には、10分から20分の長さの4つの教材からなる動画とチェックリストを用いる。全教職員は基本的な事項を解説した動画2教材を、個人情報保護管理責任者(部局長クラス)と保護担当者(事務部長クラス)は、今回の法改正のポイントなどを説明した2教材を加えた動画4教材を、それぞれ視聴することになる。

 本研修を行う背景は、まず、個人情報保護に関する国の法律が改正され、昨年(2022年)4月1日から施行されたことが挙げられる。この改正を一言で言えば、国立大学法人は今までは国の行政機関と同じような対応をしていたのが、改正後は民間事業者と同じ対応を取ることになったことである。この改正に伴い、昨年3月に、学内の規程も全面的な改正を行った。本研修は、この大幅な改正を理解するためのものと位置付けられる。また、情報セキュリティに関する研修は、近年益々巧妙かつ悪質になってきているサイバー攻撃に対処するためのものである。既にウェブサイトで公表しているように、昨年、残念ながら本学においてもサイバー攻撃を受け、個人情報漏洩の可能性を否定できないインシデント(事案)が発生している。本研修はこのようなインシデントを二度と起こさない再発防止策の一つの施策でもある。

 全教職員は、本研修を受講し、ぜひ双方に対する理解を深めてほしい。

 ここで話は変わる。教員に対する実態調査によると、教員が研究に割ける時間が年を追うごとに少なくなっている(文部科学省、2019)。2002年は、職務活動の中で研究に割く時間は46.5%であったものが、2018年は32.9%まで下がったという。増えたのは教育と診療活動などの「社会サービス活動」であり、学内事務等の「その他の職務活動」の率は変わらなかった。しかし、社会サービス活動の大幅な増加は、学問分野で言えば医療系を含む保健系に限られるのだそうだ。このデータをさらに深堀して調査分析した報告によると、学内会議や学内業務に従事する「その他の職務時間」を優先して効率化することが、研究時間の確保に有効であることが分かったという(山本、2020)。すなわち、「その他の職務時間」に分類される学内業務は、研究時間を‘細切れ化’するものであるからだという。細切れの研究時間では、同じ時間の長さでもまとまった研究時間には質的に及ばないというもので、これは私も実感として同意できる。

 近年、安全保障輸出管理、利益相反マネジメント、ハラスメント、研究インテグリティなどなど、多くの事項で研修が行われるようになった。多くの研修を教職員にお願いすることになるが、研究時間や業務時間を可能な限り細切れ化しないような工夫と方策を考える必要がある。今後は、少なくとも数々の研修の年間スケジュールなど全体像を示した上でお願いしなければならないと考えている。これは研修をお願いする側の重要な課題である。

【参考文献(URLは省略)】
文部科学省、2019:平成30年度大学等におけるフルタイム換算データに関する調査(概要)。
           令和元年6月 26 日、13ページ。
山本弦、2020:  大学等教員の研究時間の制約認識への影響に関する要因分析。12ページ。