はばたくひと #01

百瀬敦子

音楽部を率いて27年、
強豪抑えて日本一。

2017.10.06

音楽部を率いて27年、強豪抑えて日本一。

 国内で最も歴史のある合唱コンクールとして知られるNHK全国学校音楽コンクールの第83回大会高校の部で、山形県立鶴岡北高等学校の音楽部が日本一に輝いた。山形県勢としては36年ぶりの金賞とあって地元はもとより、卒業生や県内の音楽関係者をも大いに喜ばせ、マスコミにも多く取り上げられた。その音楽部の顧問を務める百瀬敦子先生は、本学の教育学部(現・地域教育文化学部)出身。音楽を専攻し、ピアノや声楽など音楽全般を学んだ。多様な経験に恵まれ、音楽漬けの充実した日々を過ごしたという。鶴岡北高では通算27年間(2016年時点)にわたって音楽の指導にあたっている。百瀬先生も高校時代には、山形西高の音楽部に所属し、同コンクールならびに全日本コンクールで長い間連覇を続け、全国の合唱界にその名を轟かせた阿部昌司先生に学んだ。指導者となった今は、恩師の背中を追うように試行錯誤しながら生徒たちとともに歩んできた。

練習の様子

2016年10月に開催された全国大会の会場は、3,000人以上収容のNHKホール。本番で最高の合唱を披露するために、会場に向かう道中の街でホールを借りて行った練習の様子。

 以前から地域を挙げて合唱に力を入れていることもあり、鶴岡北高の県内での評価は高いが、全国大会となると結果を出すのは容易ではない。2015年も県勢としては34年ぶりに同コンクールの全国大会出場を果たしたものの入賞には届かなかった。その反省を踏まえ、自分たちの思いが届く合唱を目指し、対策を立てた。広い会場でも豊かに響く声を目指し、体育館で歌い込み、明瞭な歌詞、豊かなハーモニーで「思いを伝えすべてを出し切る」練習を重ねたのである。いい結果が出せなかった時ほど、悔しさがバネになって頑張れる成長のチャンス。だからと言って金賞の獲得に固執するのではなく、歌うことが好きな気持ちと本番でも楽しむことを忘れなかった。「日頃の練習の成果を出し切って最高の合唱をしよう」、それだけを考えてのびのびと歌うことができたことが結果につながったのだ。今では、日本一の歌声が聴きたいと殺到するオファーにうれしい悲鳴の百瀬先生。金賞は一つの通過点として、生徒たちのさらなる伸びしろを探して成長につなげていきたいと、既に次を見据えている。

音楽部の生徒たちと百瀬先生

見事金賞を受賞し、歓喜に湧く音楽部の生徒たちと百瀬先生。チームワークでやり切った清々しい表情で、これから栄えあるトロフィーと楯を抱えて帰路につく。

ももせあつこ

ももせあつこ●山形県出身。教育学部(現・地域教育文化学部)で音楽教諭の免許取得。山形県立鶴岡北高等学校の音楽部を指導すること通算27年(2016年時点)。2016年のNコン高校の部で山形県勢36年ぶりの金賞に導いた。

※内容や所属等は2016年当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌「みどり樹」
Vol.70(2016年12月発行)にも
掲載されています

[PDF/3MB]

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