はばたくひと #03

後藤亮

パラオで深めた知識と経験を
博物館業務で発揮。

2017.10.06

パラオで深めた知識と経験を博物館業務で発揮。

 子どもの頃から生き物が好きで、生物学が学べる大学を探していた後藤亮さんの目に飛び込んできたのは、大学案内の表紙に掲載された山形の豊かな自然。冬の樹氷をはじめ、四季折々の美しさに魅了され、「ここで大学生活を送りたい!」と思ったのだという。理学部生物学科(入学当時)から大学院に進学し、博士後期課程まで学びを深めた。博士論文のテーマは「パラオ諸島海水湖に生息する魚類の進化」。人生初の海外は、卒論研究で訪れたパラオ諸島。調査対象である海水湖に辿り着くためにジャングルを歩いたり、湖で溺れそうになったり、苦労も多かったが、楽しい記憶の方がより鮮明だ。先生や先輩方と協力して行った調査や、満天の星空、エメラルドグリーンの海とそこに生息する生き物たち、すべてが一生の思い出だ。

 博物館に就職することになったきっかけは、博士後期課程の頃に山形県立博物館で働いた経験が大きい。博物館の調査研究や地域の歴史、自然などを人々に伝える仕事に魅力を感じたのだ。公募の少ない狭き門ながら、千葉県立中央博物館に採用され、企画調整課で広報活動や他の博物館との連携・連絡などを担当する他、研究員として川や湖に生息する魚の研究も継続している。

後藤さんと指導教員の半澤直人教授

学生時代、パラオの海水湖で調査対象の魚を投網で捕獲したシーン。後藤さん(写真左)と指導教員の半澤直人教授。

 大学で学んだ専門分野はもちろん、卒論や修論で身につけた論理的な考察力や文章力、プレゼンテーション力も大いに役立っている。「大学生活という貴重な時間はアッという間。色々なことに挑戦、経験して人生を豊かなものにしてほしい」と自らの実感を込めて語る。現在後藤さんは、2016年の夏に開催される企画展『驚異の深海生物―新たなる深世界へ―』の準備の真っ最中。その成功に向けて内容の充実はもとより、広報活動にも尽力している。

後藤さんにとっての
山形大学とは?

心のふるさと

ごとうりょう

ごとうりょう●茨城県日立市出身。2011 年大学院理工学研究科博士後期課程修了。「千葉県立中央博物館」企画調整課勤務。学芸員業務に加え、川や湖に生息する魚の研究も継続して取り組んでいる。

※内容や所属等は2016年当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌「みどり樹」
Vol.67(2016年3月発行)にも
掲載されています。

[PDF/7.78MB]

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