はばたくひと #17

原田千尋

多様な経験や刺激を得た大学時代
一途な思いをかなえて教師の道へ。

2020.08.30

多様な経験や刺激を得た大学時代一途な思いをかなえて教師の道へ。

「子どもの成長に携わりたい」という高校生の頃からの夢をかなえるために地域教育文化学部児童教育コースで学んだ原田千尋さん。初志貫徹し、現在は山形県内の南陽市立沖郷小学校で教諭を務めている。県外出身ながら研究室やサークルでの活動を通して、地域との関わりを深めていった。教育現場で様々な悩みや苦労を抱える日々ではあるが、子どもたちに何か良い影響を与えるきっかけになれればと奮闘中だ。

子どもに寄り添う先生めざし、
縁ある山形での大学生活を選択。

 山形大学の特徴のひとつとして、フィールドワークなど地域とつながりのある授業が多いことが挙げられる。その点に魅力を感じて入学を志望する学生も少なくない。栃木県出身の原田千尋さんもその一人で、山形に親戚がいるため訪れる機会も多く、慣れ親しんだ自然豊かな山形で、地域とのつながりをもちながら学べることが大きな志望動機になった。子どもが好きで、子どもたちの成長に携わりたいという、高校生の時から抱いていた夢をかなえるために地域教育文化学部で児童教育コースを専攻。それまでの人生を振り返って、自身が一番影響を受けた存在が先生であり、自分も子どもに寄り添える先生になりたいとの思いからだった。
 幼稚園と小学校での学びに興味があった原田さんは、研究室では生活科・総合学習の時間を中心に学んだ。たくさんの文献を読んでまとめ、先生や研究室の仲間たちとのディスカッションを通して、自分の考えを深めることができ、成長を実感できた。また、山形市内の幼稚園や小学校での実践的な取り組みを継続的に見学させてもらえたことや、他県の学校の授業を見学する機会に恵まれたことも現在の仕事の大きな基盤となっている。

小学2年生の算数の授業で板書をする原田さん

小学2年生の算数の授業で板書をする原田さん。本日の授業の目標は『100を超える大きな数を知ろう』。子どもたちの理解につながるよう、授業方法の工夫を続けている。

浜田広介の記念館に向かうところ

2019年の校外学習の一環で、『泣いた赤おに』等の作品で有名な山形県の童話作家、浜田広介の記念館に向かうところ。夏の暑い日、電車と徒歩で楽しく向かった思い出が残っている。

授業やサークル活動で地域の中へ
総合大学で学ぶ価値を実感。

 大学の授業は、講義形式のものから自分たちで話し合ったり調べたりする学習まで幅広く、その中で様々な経験や気づきが得られた。また、地域とのつながりに重きを置いて大学選びをした原田さんの期待通り、実際に様々なかたちで地域と関わりをもつことができた。特に、基盤共通教育では県内のプロサッカーチームからプロスポーツの経営のあり方やスポーツと地域社会との関係等について学んだり、市内を歩いて町について調べ、自分たちで町づくりを考える授業を受講したりと、多彩な学びの機会を得ることができた。さらに、総合大学ならではのメリットを感じる機会も多く、理系文系問わずいろいろな学部・学科の学生と一緒に学ぶことで、多様な考え方や価値観に出会い、大いに刺激を受け、新しい考え方や見方をすることができるようにもなった。
 サークル活動では、花笠サークル「四面楚歌」に所属し、山形の伝統芸能である花笠まつりを通して地域の方々と交流することができ、数々の出会いを通して山形への理解を深めることができた。それらは、他県から来た原田さんにとって大きな財産となり、卒業後も山形を離れることなく、高校生からの夢であった先生としてがんばっている今につながっているのかもしれない。

夏の花笠まつりでのワンシーン

大学生最後の4年生で迎えた、夏の花笠まつりでのワンシーン。久しぶりに集合できた同期みんなの笑顔がはじける。練習に励んだ日々が卒業後の今でも何よりの思い出。

卒論発表会を無事に終え、ほっとする原田さん

大学卒業を間近に控えた、卒論発表会を無事に終え、ほっとする原田さん。生活科や総合的な学習のありかたを考える研究室で学び、「先生と仲間に恵まれた充実の時間でした」と振り返る。

「何のために」と考えることで
充実の大学生活や夢につながる。

 「先生になりたい」という夢をかなえた原田さんは、現在、山形県南陽市の小学校で“原田先生”としてがんばっている。実際の教育現場では、悩むことも大変なことも多いというが、子どもたちに何かしら良い影響を与えるきっかけになりたいという気持ちに寸分の揺るぎもない。自身の記憶の中にある「いろいろなことを教えてくれ、たくさん遊んでくれた先生」、「良い影響を与えてくれた先生」の背中を追いかけている。
 高校時代、先生になるという明確なビジョンをもっていた原田さんだったが、「とりあえず勉強しなきゃ」という意識で闇雲に勉強してきたという。それが、大学生になり、多くの人と関わる中で「何のために」と目的を考えるように変わった。何のために勉強し、何のために活動するかがわかると、今取り組んでいることの意味や価値がわかってくる。「将来の夢が決まっていない人も『何のために』を考えてみると自分の生き方につながるものが見えてくるかもしれません。目的地と現在地がわかってこそ地図が読めるように、自分の中の目的を考えることが重要と感じています」と語る。だから、これから大学生となる後輩の皆さんには、こうした意識をもってより楽しく価値ある大学生活を過ごしてほしいとエールを送る。

はらだちひろ

はらだちひろ●2018年度地域教育文化学部卒業。栃木県出身。幼稚園と小学校の「学び」に興味を持ち、生活科・総合学習の時間を中心に研究。学生時代は花笠サークルに所属し、山形の伝統芸能に親しんだ。現在は、南陽市立沖郷小学校の教諭として勤務。

※内容や所属等は2020年当時のものです。

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