はばたくひと #05

栗原利文

山形県選抜チームの快進撃に貢献
ラグビー部OBにして山形大職員。

2018.02.28

山形県選抜チームの快進撃に貢献ラグビー部OBにして山形大職員。

2017年、ラグビー成年男子の山形県選抜が25年ぶりに国体出場を果たし、しかも、4位入賞という好成績に地元は大いに沸いた。その選抜メンバーの一人、栗原利文さんは、本学ラグビー部のOBであり、現在は本学の職員でもある。そのため、休日には今でも大学のグラウンドで部の後輩たちと一緒に練習することが多い。後輩たちにとってはいい刺激となり、ラグビーでのリフレッシュが栗原さんの仕事の活力にもつながっている。

“25年ぶりの快挙”で終わらせない
関心を持続させるためにも日々練習。

 東北6県のうち国体に出場できるのは2県のみ。東北予選の壁は厚く、長年、国体への出場がかなわなかった山形県勢。それが25年ぶりの出場となった「2017愛顔つなぐ えひめ国体」では、いきなりの4位入賞という快進撃を見せたのだから“ラグビー不毛の地”とまで言われた山形県のラガーマンたちに与えた勇気は大きい。国体後に出身高校のラグビー部を訪れた際には、熱烈な歓迎を受け、後輩たちのモチベーションアップにもつながっていることをうれしく感じたという。改めて、今回の好成績の要因を尋ねると「関東遠征などができたことで、例年に比べて選抜メンバーそろっての練習量が多かったこと。2014年からメンバーに加わっている元日本代表の横山兄弟によるチーム力の引き上げが、成果として現れてきているんだと思います。レベルの高いプレーを目の当たりにして大いに刺激をもらっています」と冷静に分析してくれた。
 2015年W杯で南アフリカ代表に勝利したことや、「五郎丸ポーズ」をきっかけに、世間の注目を集めたラグビー。2019年には日本でW杯が開催される。栗原さんたち山形県選抜メンバーも“25年ぶりの快挙”で終わらせるのではなく、今後につなげていきたいとそれぞれに熱の入った練習を再開させている。

総務部での仕事風景

大学勤務6年目。現在は、総務部で各種会議の日程調整や資料作成、会場設営、運営など全般を担当。パソコンに向かう栗原さんの仕事ぶりは、ラグビー同様、しなやかでスピーディー。

学業とラグビーで得た多くのものが
職場でもチームでも生かされている。

 栗原さんがラグビーに出会ったのは中学時代。母校の山形一中は県内で唯一ラグビー部のある中学校で、体育の授業にもラグビーが取り入れられていた。小・中学とサッカー少年だった栗原さんは、その体育の先生の勧めもあって高校からは本格的にラグビーに打ち込むべく、県内では強豪の山形南高校に進学。以後、高校・大学の7年間をラグビー漬けで過ごすことになる。ラグビー漬けとは言ってももちろん、大学では学業にも励んだ。人文学部(現・人文社会科学部)で栗原さんが所属していた日本経済論ゼミは、グループワークやディベート、ディスカッションなどが盛んなゼミで、チームワークやプレゼンテーション能力、コミュニケーション力が大いに鍛えられたという。それらが、現在の仕事にもラグビーにもさまざまなカタチで生かされていることは言うまでもない。
 ラグビー部時代は、火・木・土・日が練習日で、練習が終わるとそのまま一人暮らしの仲間のアパートに集まり、食事をしたり、お酒を飲んだり、ゲームをしたりがルーティンだった。本学の職員となった現在は、監督として指導する立場ではあるが、休日ともなれば学生時代さながらに大学のグラウンドに出て後輩たちと汗を流す。栗原さんにとっての休日とは、体を休める日ではなく、思いきり体を動かす日。その方が体調もよく、仕事にも気合いが入るという。

東北予選表彰式後の記念撮影

「えひめ国体」への出場を決めた東北予選の表彰式後の記念撮影。山形県勢としては25年ぶりの国体出場権獲得に興奮も喜びもひとしお。メンバー全員で会心のガッツポーズ。

大阪府戦

「えひめ国体」予選プール(4チームによる総当たり)2戦目の対大阪府戦。初戦を落とし、決勝進出のためには負けられない山形県代表。タックルを繰り返し、必死のディフェンス。

きっかけを掴むには、まずアクション
大学には、きっかけもサポートもある。

 栗原さんの大学時代はまさにラグビー一色。それだけ一途に打ち込めるものに出会えたことを幸せに感じている一方で、もっといろんなことに関わり、経験してみることも大学生の醍醐味だったのではという思いも少なからずあるようだ。だから、まだ夢中になれるものに出会えずにいるという学生のみなさんには、深く考え過ぎずにいろんなことに挑戦してみることを勧めたいという。何かに夢中になるにはきっかけが必要で、それはじっとしていては気づけないものだから。
 その点、山形大学は「きっかけの宝庫」なのだそうだ。1年次に小白川キャンパスで出会った友達を訪ねて米沢や鶴岡に行ってみると、そこで何かを感じるかもしれないし、山形大学に留学してきた学生と交流を持ち、学内に居ながらにして異文化に触れることで、その国に行ってみたくなるかもしれない。海外研修や留学への動機づけにもなる。社会人になってからの海外はハードルが高いから、と自らの実感を込めて学生時代の海外経験を推奨する栗原さん。「海外経験に限らず、学生のみなさんにはやりたいことをやってほしい。私たち職員がしっかりサポートしますから」と、最後はラガーマンとしてではなく、山形大学の職員としての一面をのぞかせ、メッセージを締めくくってくれた。

賞状を手にする栗原さん

ラグビー成年男子4位入賞の賞状を手に満面の笑みを浮かべる栗原さん。着用のジャージは県から提供されたもので、胸の県のマークとサクランボが山形代表の証。

練習風景

大学のグラウンドでラグビー部の後輩たちと練習に打ち込む栗原さん。ラグビーの試合は、雷が鳴らない限り中止にならない。だから、雨が降ってもぬかるみでも、練習は決行。

栗原さんにとっての
山形大学とは?

くりはらとしふみ

くりはらとしふみ●山形県山形市出身。2011年度人文学部卒業。現在は山形大学総務部に勤務。2017年の「えひめ国体」にラグビー山形県選抜の選手として出場。県勢25年ぶり国体出場、4位入賞の快挙に貢献した。

※内容や所属等は2018年当時のものです。

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