はばたくひと #08

佐藤麻衣

出会いと経験に導かれ、青年海外
協力隊としてセネガルで農業指導。

2018.11.15

出会いと経験に導かれ、青年海外協力隊としてセネガルで農業指導。

 現在、セネガル共和国でJICA青年海外協力隊として農業指導にあたっている佐藤麻衣さんは、本学農学研究科の修了生。安全農産物生産学コースで稲作から野菜栽培、畜産まで幅広く学び、大学院では畑に関する専門性を高めるために農業機械学の研究室に所属していた。佐藤さんが食や植物に興味を持つようになったのは、祖父母が農業をやっていた影響で、小さい頃からよく畑に遊びに行き、手伝いをした経験があったからだ。大好きな地元の農業を研究し、地域に密着したいと考え、地元の大学を選んだ。「安全農産物生産学コースは、現場実習が多く、食に密着したコースで、自分たちで育てた野菜のほか、研究で使い終わった果樹や肉を食べたり、研究室間で農産物の物々交換をしたりと、農業の醍醐味を満喫できました」と、佐藤さん。畑や田んぼでの作業は体力的にはきつかったものの、この時に培われた観察力や物事の捉え方が研究の基礎になった。また、留学生が在籍する研究室だったため、自然と英語力を身につけることもできた。

研究室のメンバーと稲刈り

学部4年生のときに研究室のメンバーと稲刈り。専攻した安全農産物生産学コースは現場実習が多く、野菜や米を作ったり、鶏をさばいたり。食に密着した学びに充実の日々。

 佐藤さんは、中学生の時に青年海外協力隊の活動を知り、日本人がいない地域に1人で入って、人々を笑顔にする素敵な活動を、いつかは自分もと考えるようになった。そして、大学でその思いは決意に変わった。海外をフィールドに研究活動する先生方の話に刺激を受け、卒業生から多くの協力隊を輩出していることやJICAの研修生を受け入れていることなどに背中を押されたのだ。職種は野菜栽培、派遣地はセネガル共和国。市民農園の管理や市場調査に加えて、子供たちと家庭菜園で野菜の成長を観察したり、女性グループと雨季の野菜栽培に取り組んだりもしている。文化や言葉の違いに戸惑いながらも徐々に現地の人とも打ち解け、食と健康に関するイベントを開催するなど、活動の幅を広げている。
 さらに、今後は野菜が不足しがちなセネガルの食生活の中に、野菜を楽しく作っておいしく食べる習慣を定着させたいと計画中。佐藤さんのこの充実の表情が、今度は誰かの挑戦の背中を後押しするに違いない。

フィリピンの農業大学の視察

担当の先生のおかげで農業機械メーカーや研究所、国際学会の場に出る等、国内外で様々な体験をし、知見を広めることができた院生時代。フィリピンの農業大学を視察した際の一コマ。

さとうまい

さとうまい●山形県出身。大学院農学研究科修了。大学では、栽培土壌学・農業機械学を専攻。2017年7月から2年間の任期で青年海外協力隊としてセネガルへ。現地の農業事情を学び、市民農園の管理、指導等に奮闘している。

※内容や所属等は2018年当時のものです。

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