はばたくひと #06

佐々木史乃

宮城県の女性で2人目の
1級みそ製造技能士。

2018.05.15

宮城県の女性で2人目の1級みそ製造技能士。

 元々動物好きで、加えて畜産系も学べるという理由で農学部を選んだ佐々木史乃さん。しかし、そこでより強く関心を抱いたのは微生物の領域だった。知るほどに興味が深まり大学院まで進み、卒業後は微生物に関わる仕事を通して地元に貢献したいと、出身地である栗原市の隣、大崎市に工場のある「仙台味噌醤油株式会社」に入社。400年の歴史を誇る仙台味噌の伝統を今に伝える「ジョウセン」ブランドの工場で、麹菌や酵母などの微生物を管理し、発酵の進み具合の確認や出荷のタイミングの判断など、年間3,000~4,000トンのみその生産管理を担っている。

佐々木さんの仕事風景

製造部生産管理課製造計画の主任を務める佐々木さん。サンプルをとって発酵の進み具合などを確認し、次の工程や出荷のタイミングなどの指示を出す、まさに司令塔的存在。

 指示を出す立場上、みそ製造の知識と技能を、もっと深める必要性を感じていた。周囲の勧めもあって国家資格の「1級みそ製造技能士」試験にチャレンジすることになったのは、2人目の子どもを預ける保育所が見つからず在宅勤務をしていた頃。在宅勤務中はパソコンを使って発酵状態を管理し、必要な作業内容を工場へ伝えていた。試験は不定期に実施されるため、子育てまっただ中での挑戦となった。学科対策は子どもたちを寝かしつけた後に試験勉強に集中し、実技については職場の先輩でもあり、「1級みそ製造技能士」の有資格者でもあるご主人のアドバイスを受け、見事合格。これは、宮城県内の女性資格者では平成に入って2人目の快挙。佐々木さん自身の努力、そして会社と家族のサポートが素晴らしいと話題になり、新聞やテレビでも取り上げられた。今後は、伝統と化学、感覚とデータ、家庭と仕事、これらを両立させて仙台味噌の伝統を守りながら新たな商品開発や品質向上に力を発揮していくに違いない。

ジョウセンの仙台みそ

大豆のうま味をひきだし、米麹の甘さが程よいスッキリしたおいしさで好評のジョウセンの仙台みそ。モンドセレクション最高金賞10年連続受賞が品質と美味しさの証。

 大学時代、研究室で苦楽を共にした学友や学部を越えて集ったサークル仲間とは今も交流があり、お互いの近況に刺激されたり、励まされたりの関係だ。「大学時代の友人は切磋琢磨し合える大切な存在。いろいろな人とのつながりを大事にしてください」と後輩たちへエールを送った。

ささきしの

ささきしの●宮城県出身。大学院農学研究科修了。2008年「仙台味噌醤油株式会社」入社。2017年、国家資格のみそ製造技能検定で1級技能士に合格。宮城県の女性としては24年ぶり2人目。2児の母。

※内容や所属等は2018年当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌「みどり樹」
Vol.73(2018年3月発行)にも
掲載されています

[PDF/5.7MB]

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