はばたくひと #18

佐藤裕太

“地元を元気に”と始めたゲストハウス、
持ち前の熱量で農業を主軸に奮闘中。

2020.11.30

 “地元を元気に”と始めたゲストハウス、持ち前の熱量で農業を主軸に奮闘中。

 米どころ庄内の米農家の5代目として農業を継いだ佐藤裕太さんは、様々な出会いや出来事をきっかけに、現在、農業の傍らゲストハウスを経営している。高校生の頃はなんとなく「農家を継ぐのだろうな」くらいに考えていた佐藤さんが、農業や地域に対してより積極的に、前向きになったきっかけは、予備校で受けた自分自身と向き合う授業。その中で地元庄内の良さに気づき、家業である農業を通して「庄内を元気にしたい」という思いが芽生えた。そのため、学生のうちから地域との繋がりを築く狙いで、地元の山形大学農学部に進学した。

田んぼで作業する佐藤さん

本業はあくまでも農業。米農家の5代目として任された約12haの田んぼで青々と生育中の稲の高さをチェック。ゲストハウスで好評のお米食べ放題サービスは米農家ならでは。

 大学では農業経済学、地域計画学が専門の小沢研究室に入り、小沢教授が主導する公開講座「食と農のビジネス塾」にも参加するほど農業や地域について熱心に学んだ。さらに、花笠サークル「四面楚歌」に所属し、その活動で訪れた初の海外、香港で異国への興味が覚醒。3年次にはバックパックで東南アジアを1か月かけて巡り、その際に利用した安宿での思い出がベースとなって今のゲストハウス経営につながっている。庄内を訪れる人々が気軽に泊まれる宿、人が集まる拠点を作りたいと考えたのだ。農業を本業としながらもゲストハウスをやりたいという気持ちは徐々に膨らみ、自他ともに認める「やりたいと思ったらやる人」気質で動き出しは早かった。庄内町での空き家探しやクラウドファンディングによる資金集め、DIYでのリフォームを着々と進め、友人や地域の人々の協力もあって2019年9月にゲストハウス「Mokkehouse」をオープンさせた。出羽三山などを目的地とした外国人客の利用者も多く、米農家だからできるお米食べ放題のサービスも話題になった。
 これまでの農業のカタチにとらわれない佐藤さんのこの取り組みは、行政や周囲の人々を刺激し、地域活性化のモデルケースになっている。「農業や地域おこしに興味のある学生がいたらぜひ相談に乗りたい」と、後輩への応援も惜しまない。佐藤さんの放つ熱量は、地域ばかりか後輩たちにも元気をもたらしてくれそうだ。

ゲストハウス「Mokkehouse」

ゲストハウスの運営を一人で行っており、お客様をお迎えする準備もチェックアウト後の片付けや清掃もすべて佐藤さんの仕事。農業との両立は大変だが、楽しみでもある。

さとうゆうた

さとうゆうた●山形県出身。2016年農学部卒業。農家の5代目として米作りに励むとともに、地元庄内町の空き家を活用し、ゲストハウスを経営。町の活性化に貢献している。

※内容や所属等は2020年9月当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌「みどり樹」
Vol.78(2020年9月発行)にも
掲載されています。

[PDF/4.3MB]

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