はばたくひと #07

福原智

大学時代の果敢なる挑戦を糧に
IT業界で独立、起業、成長へ。

2018.08.30

大学時代の果敢なる挑戦を糧にIT業界で独立、起業、成長へ。

加速度的に進化を続けるIT業界において、その速度に合わせるように2008年の設立以来、急成長しているITベンチャー企業「株式会社トリプルアイズ」。その設立者であり、代表取締役を務める福原智さんは理学部の卒業生。“海外に販売できる人工知能アプリを開発し、シェアNo.1を取る”という目標を胸に、役員会議や協会の理事活動、異業種交流など、社内外での職務に果敢に取り組んでいる。

実験、サークル、アルバイト
チャレンジ三昧の毎日が原点。

 大都会・横浜出身の福原さんが、豊かな自然に囲まれた山形大学を進学先として選んだ一番の理由は、宇宙の成り立ちに興味があり、その宇宙研究の第一人者の先生が理学部に在籍していることを雑誌で知ったから。他に、地方の大学に行って一人暮らしがしたかったというのも理由の一つだ。学生時代の福原さんは、家庭教師やクレジットカード会社のアルバイト、バレーボールと将棋のサークル活動で多忙な日々を過ごし、とりわけ、サークル活動には熱心に取り組んだ。もちろん、学生の本分である実験やレポートにも全力を注ぎ、メリハリのある学生生活だったと振り返る。
 一人の研究者に導かれるように入学した大学の環境が、少なからず福原さんの精神面にも影響を与えたようだ。緑あふれる環境で自由に大胆に、遊びも、勉学もできたことが大きな自信につながった、と自己分析。常に楽観的な思考が身についたと同時に、困った事態に陥っても決して諦めない、その点は東北人気質とも言える粘り強さが培われた賜と言えるかもしれない。

TRONシンポジウムでの特別セッション

2017年12月に東京ミッドタウンで開催されたTRONシンポジウムにて特別セッション「IoT時代のロボティクスビジネス」のメンバーとして登壇し、発言をする福原さん。

AI囲碁竜星戦2017、6位入賞と大会特別賞を受賞

AI囲碁竜星戦2017(世界大会)にて、トリプルアイズAI研究開発チームが6位入賞を果たした時の賞状。さらに、大会特別賞「独創賞」を併せて受賞。

会社から独立、起業、そして成長
企業トップとしての挑戦は続く。

 1999年に理学部物理学科を卒業した福原さんは、半導体会社に就職。その後、独立してソフトハウスで2年間修業を積み、6年間はフリーランスのエンジニアとして活動。その間、通信会社の基幹システムの開発者として抜擢されるなどの活躍もあり、技術的にはかなりの自負があったという。その頃に知り合った仲間たちと2008年、32歳の時に「株式会社トリプルアイズ」を設立。社名の由来は、お客様へのサービスやシステムを「Customize」「Realize」「Maximize」する3つの「ize」からきている。当初は、会社経営が初めての技術者だけの集まりで、失敗することもあったが、それだけに成功した時の喜びはとりわけ大きかったという。業績は順調に推移し、10年目の今期売上予定は11億円。毎年着実に社員数も増え、今では144名にまで成長した。会社が大きくなることはもちろん喜ばしいことだが、大家族主義を掲げる会社として、社員の成長も楽しみの一つとしている。
 福原さんの代表取締役としての仕事内容は、役員会議、経営会議はもちろん、経営企画室のメンバーとの定例会、ブロックチェーン協会の理事活動やAI囲碁のプロジェクトと顔認識APIプロジェクトの定例会への参加、他社社長との交流、異業種交流などなど。ブロックチェーン協会では、設立時からの理事として、仮想通貨の取引などを支えるブロックチェーン技術の研究と推進にも携わっている。社内外での多様なスケジュールを精力的にこなし、重責を全うしている。

トリプルアイズの初詣

トリプルアイズでは、年始の初詣が恒例となっている。神社の境内で社員に囲まれ笑顔の福原社長。会社のさらなる繁栄、家族や社員の健康などを祈念。

海外視察

JASPA(全国ソフトウェア協同組合連合会)の活動の一環として、視察でタイを訪れた際の一枚。仕事ではあるが、海外ならではの開放感から、表情がとても穏やかな福原さん。

失敗しても立ち直れる学生時代
後輩たちへ、チャレンジの勧め。

 山形大学の校友会では、卒業生の中から適任者を「人財バンク」に登録し、登録された卒業生には現役学生に対する講演会、キャリア相談、就職アドバイス等をお願いする学生支援事業を行っている。最先端のIT業界で活躍する福原さんもその一人として登録されており、2017年3月には「最先端IT技術のAI(人工知能)が導く未来」と題して講演を行った。IT技術の歴史及び進化の様子、AIについての解説などと最先端技術のこれからをビジネスの現場の導入事例を交えながらわかりやすく講演し、好評を博した。
 今回、改めて後輩たちへのメッセージをお願いすると「学生時代は、全てを全力で思いっきりやることをお勧めします! 失敗しても立ち直れます。私は山形大学で多くのチャレンジをし、多くのことを経験したことで、チャレンジをして新しいものを生み出す大切さを学びました」と、果敢に挑戦を続け、成功を手にした先輩だけに説得力のある言葉。そんな福原さん自身の今後の夢は「海外に販売できる人工知能アプリを開発し、シェアNo.1を取ること。そして、プライベートでは、東京ドームくらいの大きさの京都にあるような庭園を持つこと」と、さすがにスケールが大きい。これからも後輩たちの良き目標、良きアドバイザーであってほしいと願い、今後のますますの飛躍に期待したい。

ふくはらさとし

ふくはらさとし●神奈川県出身。1999年理学部物理学科卒業。会社員、フリーランスを経て、2008年にITベンチャー企業「株式会社トリプルアイズ」を設立、代表取締役。趣味は、将棋とゴルフと登山。

※内容や所属等は2018年当時のものです。

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