はばたくひと #24

豊田龍平

周囲の理解で実現した
大学院での学び直しの成果で
「ティーデマン・ふすま賞」を受賞。

2022.03.30

周囲の理解で実現した大学院での学び直しの成果で「ティーデマン・ふすま賞」を受賞。

 現在、本学飯田キャンパス事務部学務課医学科担当の主任を務める豊田龍平さんは、本学人文学部の卒業生。学部学生時代は、松尾剛次先生に師事して日本中世史を専攻。高校地理歴史科の教員になることを目指して採用試験の勉強をしていた4年生間近の3月、東日本大震災が発生。被災者や被災地に対して何ができるか考えた結果、「山形文化遺産防災ネットワーク」の活動理念に共鳴して被災文化財レスキューボランティアに参加。それが契機となり、地域の歴史・伝統や文化財を守りたい、学びたいという思いをより一層強くしたという。そうした心境の変化から改めて進路を模索した末、大学という「場」を身近に感じていたい、大局的にみれば大学で学生や先生をサポートすることも「教育」なのだ、と納得できてたどり着いたのが母校の事務職員という「道」だった。入職後、6年間は仕事に専念していたものの、リカレント教育を推進しようとする時勢や本学の動向にも背中を押され、社会人学生として大学院で学びたいという思いから一念発起。平成30年度に社会文化システム研究科への入学を果たし、母校であり、職場でもある山形大学が、戦後どのような経緯で創設されたのかを掘り下げることを研究テーマとした。
 豊田さんの修士論文「新制国立大学山形大学の創設過程―山形高等学校の大学昇格運動を中心に―」は、調査により発見した資料に考察を加え、本学創設の経緯や出来事を明らかにしたもの。本学同窓会組織の一つ「ふすま同窓会」が授与している「ティーデマン・ふすま賞」を受賞した上、内容の一部がふすま同窓会設立100年、小白川キャンパス創設100年を記念して作成された小冊子でも紹介された。
 「学部学生時代からお世話になっている先生方をはじめ、職場、そして何より家族の協力があったからこそ実現できた大学院での学び直し、感謝の気持ちでいっぱいです。後輩の皆さん、人生100年時代、まだ目標がみつかってないとしても焦らなくていい。チャレンジする姿勢を大切にして貴重な大学時代を謳歌してください」と、豊田さん。受賞の喜びを周囲への感謝と後輩たちへのエールという形で表現した。

論文の参考文献

母校であり、職場でもある山形大学の歴史を詳らかにした豊田さんの修士論文「新制国立大学山形大学の創設過程」と、参考文献として収集した当時の新聞記事や関連書籍等々。

ティーデマン・ふすま賞の授賞式

昨年10月、コロナ禍のため、参加者を県内在住者に限定して開催された「ふすま同窓会百周年記念祭」。その式典の中でティーデマン・ふすま賞の授賞式が行われ、賞状が授与された。

とよだりゅうへい

とよだりゅうへい●山形県出身。2021年社会文化システム研究科修了。山形大学事務職員。令和3年度「ティーデマン・ふすま賞」を受賞。

※内容や所属等は2022年3月当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌「みどり樹」
Vol.80(2021年10月発行)にも
掲載されています。

[PDF/3.7MB]

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