はばたくひと #20

佐藤亜都紗

知識を医療に役立てたい、その思いを
東日本重粒子センターで発動中。

2021.05.15

知識を医療に役立てたい、その思いを東日本重粒子センターで発動中。

 2021年2月、北海道・東北エリア初の重粒子線治療施設「山形大学医学部東日本重粒子センター」で待望の照射治療が開始された。その心臓部となる高度な治療装置の安定稼働のために、運転・監視・調整・保守・検査等の業務を行う加速器エンジニアリング株式会社(以下、AEC)の佐藤亜都紗さん。高校生の頃から物理が得意で理系学部を希望し、尊敬していた担任の先生が本学出身だったことも決め手となって、本学の理学部に進学した。学部生時代から光物性物理学の北浦守教授のもとで学び、そのまま大学院理工学研究科に進んで、放射線をあてると光る“シンチレータ”という医療機器にも用いられる結晶の研究に熱中した。
 佐藤さんが勤務するAECは、群馬、佐賀、神奈川など、日本各地の重粒子線がん治療施設で重粒子線治療装置の運転及び維持管理業務を任されている会社。大学時代に学んだ知識を何らかのかたちで生かしたい、医療系の仕事に就きたい、そんな思いを抱いていた佐藤さんが学部生時代から関心を寄せていた会社だ。本学学生の採用実績もあり、先輩方がいるという安心感もあって入社を希望した。入社1年目は千葉市にある重粒子線がん治療のパイオニア、放射線医学総合研究所に勤務し、2年目には佐賀県にある九州国際重粒子線がん治療センターへ転勤。重粒子線による治療実績の多い同センターで4年間経験を積み、2020年9月に思い出深い山形の地に着任した。

回転ガントリー照射室の治療台を入念に点検

東日本重粒子センターの治療開始を間近に控えて試験と準備に余念のないAECスタッフ。佐藤さんは、治療の円滑化を図るために回転ガントリー照射室の治療台を入念に点検。

 取材時は東日本重粒子センターでの治療開始に向けた試験と準備の真っ只中。治療開始後は、佐藤さんら山形事業所のスタッフが重粒子線を安定的に供給するために、運転及び点検業務に加えて、事前試験の対応と治療照射補助を担う。「これまでの施設に比べて非常にコンパクトな山形モデルの立ち上げから関わることができて、とてもやりがいを感じています。今後は治療の円滑化に最善を尽くします」と佐藤さん。東北初で期待も大きい東日本重粒子センターだけに、意気込みもひとしおのようだ。

データ確認と書類作成を行う佐藤さん

東日本重粒子センター内にあるAEC山形事業所。ミーティングやデスクワークを行うスタッフの活動拠点。オペレーション業務を終えてデータ確認と書類作成を行う佐藤さん。

さとうあずさ

さとうあずさ●宮城県出身。2014年度理工学研究科修了。加速器エンジニアリング株式会社山形事業所勤務。「東日本重粒子センター」で装置の安定稼働、高品質ビームの提供等を担っている。

※内容や所属等は2021年3月当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌「みどり樹」
Vol.79(2021年3月発行)にも
掲載されています。

[PDF/5MB]

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