まなぶひと #02

多田智大&石井陽菜

学力向上だけじゃない、
プラスαの学習支援。

2017.10.06

学力向上だけじゃない、プラスαの学習支援。

 経済的な事情等により塾や予備校に行けない、家ではなかなか勉強に集中できない、そんな小・中・高校生を対象とする無料学習支援教室「学び場プラス」は、山形大学の学生を中心とするボランティアサークル。代表を務める多田智大さんが1年次に友人とともに立ち上げて2016年で4年目。最初は生徒もサポーターと呼ばれる学生メンバーも少人数で、不定期開催だったが、山形県母子寡婦福祉連合会の協力もあって徐々に定着し、県や市の協力も得られるようになった。県総合社会福祉センターを会場に毎週土曜日17時〜20時に開催しており、総勢約30人のサポーターの中から毎回7〜8人が、生徒たちと一緒に宿題や課題に取り組んでいる。

生徒とサポーターとでおしゃべり

夏休み期間中、学び場プラスでは中学3年生を対象に夏特訓を実施。初日は和やかな雰囲気づくりのために生徒とサポーターとでおしゃべり。勉強だけではない、こんな交流も学び場プラスの魅力。

 「学び場プラス」の目的は学力向上だけではない。親や同級生とは違う世代の大学生と交流を持つことで、コミュニケーション能力を高めたり、視野を広げたり、さまざまなプラスがあるようにとの思いがネーミングに込められている。そして、その「プラス」には生徒たちだけのものではなく、サポーターを務める学生たちの成長も含まれている。「最初はじっと机に向かっていられず、高校進学を考えていなかった中学生が、少しずつ落ち着いて勉強するようになり、受験に合格して今は楽しい高校生活を送っています。大学生で子どもたちの成長をこんなに間近で感じられるのはなかなかないです」と、やりがいを熱く語る副代表の石井陽菜さん。多田さんもこの活動を通して、以前はあまり興味のなかった教職に魅力を感じるようになったという。

“サポーター”と呼ばれる大学生ボランティアたち

「学び場プラス」で小・中・高校生といっしょに勉強する“サポーター”と呼ばれる大学生ボランティアたち。お兄さんお姉さん的存在として、この明るいノリで楽しく学習。

 また、1年次に活動に参加していた工学部の学生が、2年次からは米沢市で同様の活動を立ち上げた。この勢いで学習支援教室がどんどん広がり、教室に通っていた子どもたちが山大生になって、今度は「学び場プラス」のサポーターとして活躍する、そんなサイクルができたら素晴らしい。支援内容のさらなる充実のために、学生たちの真摯な取り組みは続く。

ただちひろ

ただちひろ●理学部3年(2016年時点)。新潟県出身。1年次に友人と立ち上げた「学び場プラス」の代表。生徒たちと関わり教職への関心を高める。実体験を糧に教育実習でも奮闘中。

いしいはるな

いしいはるな●医学部2年(2016年時点)。大阪府出身。高校では生徒会長を務め、先生の勧めもあって看護師を目指すことに。「学び場プラス」副代表として明るく活動を支えている。

※内容や所属等は2016年当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌「みどり樹」
Vol.69(2016年9月発行)にも
掲載されています。

[PDF/5.78MB]

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