まなぶひと #47

丹野魁人

快挙続く弓道部を率いる統合主将。
全日本出場目指し、勝ちにこだわる。

2024.06.14

快挙続く弓道部を率いる統合主将。全日本出場目指し、勝ちにこだわる。

 2023年12月に宮城県仙台市で開催された「第27回東北学生弓道新人戦」(東北学生弓道連盟主催)で、本学弓道部が団体戦、個人戦ともに優勝。統合主将の丹野魁人さんは「高校時代にインターハイを経験した部員がいることや、2024年1月に正式に部内に設けた技術部による情報分析で全体のレベルが上がっています」と手応えを語る。2024年度は男女とも東北1部リーグに所属。「勝ちにこだわります」と部員の士気は高まっている。

東北学生弓道新人戦は
団体戦、個人戦ともに優勝。

 東北学生弓道新人戦は大学生活で一度きりしか参加できない大会。第27回大会には当時の1年生が3人1チームになり、計10チームが団体戦に出場した。16チームで戦う決勝トーナメントに本学から6チームが進出。決勝は本学のBチームとCチームの対戦で、優勝、準優勝を独占した。
 個人戦は参加選手143人のうち、本学から10人が決勝へ。地域教育文化学部1年(大会当時)の金澤杏佳さんが優勝、工学部1年(大会当時)の棟方祐丞さんが3位という結果を残した。
 新人戦を前に、1年生部員は先輩からアドバイスをもらい、本番を想定してひたらすら弓を引いた。丹野さんは「2023年4 月入部の1年生は半数以上が経験者で、インターハイに出場した実力者もいます。決勝は山大同士の対戦になることも想定していましたが、トーナメント方式でくじ運も影響するので安心はできませんでした。そのような中、1年生部員が大健闘。部全体のさらなる成長につながります」と後輩の活躍を讃える。

2023年に開催された第27回東北学生弓道新人戦で入賞した1年生(当時)部員。本学が優勝、準優勝など上位を独占し、晴れ晴れとした表情を見せる。

部内に技術部を設け、
戦力をデータ化して分析。

 現在の部員は42人。小白川、米沢、鶴岡の各キャンパスに通う学生が、学部の枠を越えて所属している。普段はそれぞれ、小白川と米沢の両キャンパスの弓道場、鶴岡市内の弓道場で練習。
 平日は16:30〜19:00に、土曜は月3回程度9:30〜13:00に、3〜5人のグループで教え合うグループワーク、立射(りっしゃ)、矢を打つ射込みを行っている。
 さらに土曜は月1回、9:30〜16:00に小白川キャンパスの弓道場に全部員が集まり合同練習。試合形式を多くし、実践に近い形で取り組んでいる。12月末〜2月末の冬季はオフシーズンで、自主練習が中心になる。
 コロナ禍でしばらく休止していた合宿は、2024年の春休みに山形市の蔵王温泉で2泊3日の日程で実施した。1 ケ月後に控える大会を前に戦力を確認し、矢を射る際の形の改善点など検討するのが狙い。試合形式も行い、実践に備えた。

春休みの2024年3月、山形市の蔵王温泉のホテルに滞在して久々の合宿。ホテルの敷地内にある弓道場で練習に励む部員。「高校の弓道部でも利用していたホテルで、練習に集中できる環境です」と丹野さん。

 弓道部が掲げるのは「勝ちにこだわる」。部員は弓道を楽しみながらも「結果を残したい」と研鑽を積んでいる。丹野さんは「2023年の戦力はまだ発展途上でしたが、2024年はようやく形になってきました」と手応えを明かす。
 その一因に、2024年1月に部内に立ち上げた技術部がある。約10人の部員が中心となり、一人一人の試合結果や的中率、弱点などをデータ化し、客観的に分析。動画を撮り、それぞれ矢を射る形を随時確認できるようにもしている。
 丹野さんは「東北学生弓道新人戦の時も、技術部の前身のようなチームがデータ分析をしました。団体で優勝、準優勝できましたが、これに満足することなく部全体の戦力を高めるためにも技術部を立ち上げました」と説明する。
 4月の東北学生弓道大会、5月の東北地区大学体育大会弓道競技、7月のインカレ個人予選など年間を通して大会や記録会がめじろ押し。目下の目標は、10月の東北地区秋季学生弓道大会1部リーグで男女優勝を成し遂げ、三重県で行われる全日本学生弓道王座決定戦と全日本学生弓道女子王座決定戦に出場することだ。
 「2024年度から男女ともに1部リーグで戦います。一つ一つの大会を大切に、大学弓道の全国大会ともいえる伊勢神宮奉納に出場すること目標にしています」

弓道部の部員が集合。丹野さんは「人柄の良い部員ばかり。それぞれキャラが異なり、個性があって面白いです。和やかな雰囲気ですが、練習は結果を残すという緊張感を持って取り組んでいます」と紹介する。

勉強、サークル、アルバイト。
「忙しいけれど、充実の毎日」。

 高校時代も弓道部に所属していた丹野さんだが、大学入学当初は続けるつもりはなかったという。見学会や新入生歓迎会に参加し、部の雰囲気に魅力を感じたことや、高校時代の先輩が部員だったこともあり、「気付いたら入部していました」と笑う。「趣味ではなく、皆本気で弓道に取り組んでいるので、やりがいがあり、楽しいです」と夢中だ。
 工学部のキャンパスがある米沢市で一人暮らし。「遠征もあるので、アルバイトをしないと生活が厳しい」とアルバイトにも励む。丹野さん同様、アルバイトをしている部員は多いという。「統合主将になる前は週4日ぐらい勤務していましたが、今は部活動に力を入れているので出勤日は減らしています」と状況を語る。
 丹野さんは以前から花粉症持ちで、自分に効果的な薬をなかなか見つけられなかったこと、また、世界的に流行した新型コロナウイルスの特効薬がなかったことなどを目の当たりにし、高校時代に薬の重要性を痛感。「将来は医薬品の開発に関わる仕事をしたい」と考えるようになり、本学工学部化学・バイオ工学科を受験した。
 化学・バイオ工学科は1年生で幅広く工学の基礎を学び、2年生からバイオ化学工学コースまたは応用化学・化学工学コースのどちらかを選択する。丹野さんは夢の実現に向け、化学・バイオ工学科バイオ化学コースを選び、本学大学院への進学を目指している。
 「有機化学や化学物質、人体の循環の仕組みについての講義が特に面白いです。米沢キャンパスは研究設備が整っているので、大学院でより専門的なことを研究したいです」
本学を志望する後輩には「サークルに入った方が、大学生活は充実すると実感しています。忙しくなりますが、出会いの機会が増えます。自分は統合主将になったことで、さまざまなことが経験できています」とサークルへの入部を勧める。

「勝ちにこだわりながら、楽しく活動できるサークルにしたいです。大学入学当初は弓道を続けるつもりはありませんでしたが、今は大学生活が充実しているので入部して良かったです」と丹野さん。

たんのかいと

たんのかいと●宮城県川崎町出身。工学部化学・バイオ工学科バイオ化学工学コース2年。2023年秋に弓道部統合主将・工学部主将に就任。将来は医薬品の研究や開発に関わる仕事を志望している。

※内容や所属等は2024年3月当時のものです。

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