まなぶひと #24

及川優希奈

コンクール入賞を成長の糧に、
将来の目標は、音楽での地域貢献。

2020.08.15

コンクール入賞を成長の糧に、将来の目標は、音楽での地域貢献。

地域教育文化学部文化創生コースでピアノを専攻する4年生の及川優希奈さんは、3年次に「第4回Kピアノコンチェルトコンクール」で2位に入賞した。「楽しそう」という軽い気持ちで出場を決めたコンクールだが、準備を進めるうちに真剣さを増し、先生の指導や友人のサポートのおかげで成果と成長を手に入れた。この経験でますますピアノが好きになった及川さん、将来は大好きな音楽で地域に貢献できればと考えている。

興味本位で決めたコンクール出場
練習の中で高まった本気度。

 「Kピアノコンチェルトコンクール」は、芸術・文化活動の支援を行う「K国際コンクール」が主催するコンクールで、及川さんは2019年10月に六本木Kコンサートサロンで開催された第4回に出場した。ピアノコンチェルトは、正式にはオーケストラと共演する音楽だが、このコンクールではオーケストラのパートをピアノで伴奏してもらい、出場者がソロパートを演奏するというスタイル。前回のコンクールに出場するために、ピアノ協奏曲を勉強している先輩たちの姿がとても楽しそうに見えたため、「自分も挑戦してみたい」と軽い気持ちで参加を希望した及川さん。ところが、いざコンクールに向けての練習を始めてみると、その厳しさや難しさを身をもって知ることになるのだった。
 最初は、自分が弾くことだけに集中してしまい、音色や響き、ピアノ伴奏を聴きながら弾く余裕がまったくなく、指導教授の三輪郁先生からは、「音のキャッチボールをしなさい」「自分が客席にいるつもりで弾きなさい」などと、的確かつ厳しくも優しいアドバイスをたくさん受けた。また、オーケストラの音の響きやオーケストラと共演するピアノのイメージをつかむために、仙台国際コンクールを聴きに行くなど、様々なアプローチでコンクールに臨む意識や意欲を高めていった。

ピアノを演奏する及川さん

これまでの学生生活の中で一番練習した曲は、M.ラヴェル作曲の「道化師の朝の歌」。小学生の頃からいつかは弾きたいと憧れていた曲。何度弾いてもワクワクする楽しい曲だ。

教授の指導、友人や周囲の協力で
入賞、成長できたことに感謝。

 コンクールでの伴奏を引き受けてくれたのは、普段から一緒にレッスンを受けている気心の知れた友人。コンクールが近づくと、毎日不安がなくなるまで何度も音合わせに付き合ってくれ、いろいろアドバイスもくれた。おかげで、一人で練習していると行き詰ってしまうことがある及川さんだったが、今回は楽しく勉強できたという。イメージを共有したり、顔を見合わせて弾いたりしていくうちに自身の音も伴奏の音も聴く余裕ができ、三輪先生の指摘にあった“音のキャッチボール”ができるようになっていった。そして、「頼もしい伴奏者のおかげでコンクール本番でも緊張することなく、曲の世界観に入り込んで楽しく演奏をすることができた」と当日を振り返る。
 及川さんは、コンクールへの挑戦で2位入賞という結果以外にも、様々な成果を手に入れた。本番で100%の力が出せるように、練習では200%を目指して取り組んだことで、音のキャッチボールができるようになったことや演奏を聴く人に「こんなふうに伝えたい」という気持ちが生まれたこと、ピアノを弾くことがより楽しくなったことなど、自身の内なる変化を実感している。最近では、中学校や地域の合唱団での伴奏、結婚式場のチャペルでのオルガン演奏など、学外でも活動の幅を広げている。

三輪郁先生から指導を受ける及川さん

「自分が客席にいるつもりで弾きなさい」と三輪郁先生から指導を受ける及川さん。この言葉のおかげで音を聴きながら演奏したり、響きを楽しみながら演奏できるようになった。

毎日の練習を大切に

本番で100%の力が出せるように毎日の練習を大切に。何時間かかっても「大丈夫!」と思えるまで練習することで少しの失敗が気にならないくらい自信を持って弾けるようになる。

多彩な経験で音楽性も豊かに 
将来は、音楽の力で地域に力を。

 岩手県出身の及川さんはアパート暮らしで部屋にピアノを置いていない。そのため、ピアノの練習は学校の練習室が使える時間に集中的に行い、家では演奏する曲についての勉強や分析を行うなどの工夫が必要だ。それでも山形大学を選択して良かったと思える理由は、厳しくも優しく指導してくださる先生方に出会えたこと、音楽を学ぶ学生同士が学年関係なく仲が良く、友人たちから刺激を受け、先輩方からはアドバイスが得られ、後輩に教えることで新たな発見も得られること、これらの環境すべてが音楽に生かされていると感じられるからだ。
 コンクールの経験に加えて、管楽器や歌を専攻している友人や先輩の伴奏をする機会が増えたことで、伴奏は目立たず間違えずに弾けばいいという姿勢から、一緒に音楽を創っていくことが大切、という意識に変わった。さらに、副専攻で勉強しているオーボエは、全くの初心者だったが吹けるようになり、アンサンブルやオーケストラを経験することもできている。その経験によって、ピアノで誰かの伴奏をする際も「一緒にアンサンブルをする」という感覚で弾けるようになった。今後は、いろいろなことに積極的に挑戦して視野をもっと広げ、大好きな音楽を通して地域に貢献したいと、音楽とともにある将来を展望している。

おいかわゆきな

おいかわゆきな●地域教育文化学部4年。岩手県出身。K国際コンクール主催の「第4回Kピアノコンチェルトコンクール」2位入賞。この業績により、大学が様々な分野で活躍した学生を表彰する学生表彰の2019年度の受賞者となった。

※内容や所属等は2020年当時のものです。

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