まなぶひと #26

福田直人&土田竜矢

名将の下、仲間と共に鍛錬を積み
全国大会優勝剣士へ。

2021.02.15

名将の下、仲間と共に鍛錬を積み全国大会優勝剣士へ。

山形大学剣道部は、1954年(昭和29年)創部の歴史あるサークル。2020年2月には、全国の国公立大学の教育系大学が参加する「第52回全国教育系大学学生剣道大会」において、男子団体の部で初優勝を果たした。福田直人(3年)さんは当時の主将であり、土田竜矢さん(2年)は現主将。優勝メンバーであると同時に審判競技の部でも優秀賞を受賞したふたり。文武両道、今後もそれぞれの道を剣道と共に歩んでいく。

優勝と審判の部優秀賞のWお手柄
歴史ある剣道部が好成績に湧く。

 現在、剣道部には地域教育文化学部の学生を中心に男子31名、女子7名の計38名が所属している。顧問の竹田隆一先生の指導の下、鍛錬を積み、2019年には東北地区総合体育大会で男子団体3位、女子団体3位、東北学生剣道選手権大会で男子個人3位、部員2名が全国大会に出場するなど好成績を収めている。さらに、2020年2月に開催された「第52回全国教育系大学学生剣道大会」では、前大会優勝の香川大学、過去優勝2回の広島大学などの強豪を破り、山形大学史上初となる優勝を果たした。東北の大学としても初の快挙。当時の主将が福田さんであり、そのバトンを受け継いで新主将を務めているのが土田さんだ。土田さんを含めた他の優勝メンバーは、福田さん以外全員2年生であるため、次なる大会への期待も高まる。
 全国教育系大学学生剣道大会は、剣道に対する認識と技術を高め、剣道指導への熱意を培うことを目的としているため、試合を行うだけではない。研究分科会や講演会、稽古会、審判法実習、試合という3泊4日のスケジュールで実施される。本戦には出場できない各校のBチームにより行われる試合の審判を学生が務め、有効打突の見極め、姿勢、動き方が評価される審判の部でもこの2人が優秀賞を受賞した。

気迫あふれる試合のワンシーン

2020年2月に東京で開催された「第52回全国教育系大学学生剣道大会」男子団体の部の気迫あふれる試合のワンシーン。前年のベスト8から大きく躍進、栄えある初優勝に輝いた。

地域教育文化学部教授で剣道部顧問の竹田隆一先生

地域教育文化学部教授で剣道部顧問の竹田隆一先生。東北学生剣道連盟の評議員、山形県学校剣道連盟会長等も務める剣道のスペシャリスト。確かな指導力で今回の優勝に導いた。

第52回全国教育系大学学生剣道大会優勝メンバー

第52回全国教育系大学学生剣道大会優勝メンバー。全員、地域教育文化学部。左から:野口太陽さん(2年)、後藤峻吾さん(2年)、福田直人さん(3年)、土田竜矢さん(2年)、後藤大和さん(2年)。

周囲の勧めや環境で始めた剣道、
継続は力なりで、結果を導いた。

 2人のこれまでの剣道人生を振り返ってもらった。福田さんが剣道を始めたのは小学1年生の時。スーパーで剣道教室の生徒募集のチラシを目にした祖母が、孫に礼儀作法を身につけさせようと勧めたのがきっかけだった。その後、中学・高校でもずっと剣道を継続できた理由は「もちろん、好きだったからなのでしょうが、同期に恵まれたということも大きいですね。仲間に支えられ、切磋琢磨してこられたから続けられたのだと思います。そして、大学では竹田先生という剣道のスペシャリストに指導してもらえていることにも感謝しています」と福田さん。筑波大学出身の竹田先生は、剣道の技術指導においては定評があり、東北及び山形県の剣道界における要人でもある。
 一方の土田さんは、剣道道場の副館長を務める父親のもとに生まれた。身近に剣道があったため幼い頃から習い始めてはいたが、剣道から離れた時期も少しあり、本気で取り組み始めたのは小学3年生の時だった。高校進学の際には、東北でも強豪校として知られる隣県秋田県の高校を選んだ。その高校の剣道の先生も父親も本学出身で、竹田先生の下で鍛錬を積んできたというから、土田さんが本学に進学したのも自然の流れ。親子二代で竹田先生の教え子となった。

12月末、厳寒の体育館で自主練に励む学生たち

12月末、厳寒の体育館で自主練に励む学生たち。コロナの影響で連覇がかかっていた大会も中止が決定した。それでもモチベーションを途切らせることなく鍛錬を積んでいる。

インカレや山形県代表も視野に
それぞれの道で剣道を極める。

 前述の剣道部の活躍を讃え、山形県剣道連盟からは表彰盾が授与された。次なる目標は、私立大学も含めた全学部出場の全日本学生剣道優勝大会(インカレ)での上位入賞。コロナの影響でさまざまな大会が中止を余儀なくされる中、連覇のかかる全国教育系大学学生剣道大会もすでに中止が決定した。それでもモチベーションを落とさないのが、武道を志す者の気持ちの強さ。シーズンオフの自主練習期間にも、稽古に励む学生たちの高らかな気合いの声が極寒の体育館に響いていた。
 もうすぐ4年になる福田さんは、中学校の教員を目指しており、教員採用試験等に向けた勉強に集中するため、しばらく部活動は休止する。しかし、進路が決まれば再び稽古に臨み、各種大会に向けて後輩たちを後押しする決意だ。一方の土田さんは、「東北学生剣道選手権大会やインカレでの上位入賞を目指します。将来は、警察官になって剣道をさらに頑張りたい。そして、山形県代表として全日本剣道選手権に出場することも目標の一つです」と剣道愛を熱く語った。県代表は、学生、教員、警察官等、山形県内の全選手の中から選ばれる仕組みだ。福田さんと土田さんが教師と警察官という立場で代表争いをする、そんな将来を想像するだけでも楽しみでならない。

山形大学剣道部からの
メッセージ

ふくだなおと

ふくだなおと●山形県出身。地域教育文化学部3年。剣道部前主将。小学1年から祖母の勧めで剣道を習い始め、中学・高校でも継続。主将として臨んだ「第52回全国教育系大学学生剣道大会」では本学に初優勝をもたらした。

つちだたつや

つちだたつや●山形県出身。地域教育文化学部2年。剣道部主将。剣道指導者の父親の影響で剣道を始める。剣道を極めるため、高校は秋田県の剣道強豪校に進学。今回の優勝にも貢献。将来は剣道を生かして警察官を目指す。

※内容や所属等は2020年12月当時のものです。

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