まなぶひと #36

学生の「やりたい!」を応援する
『学生チャレンジプロジェクト』が
始動

2023.04.15

学生の「やりたい!」を応援する 『学生チャレンジプロジェクト』が始動

学生が挑戦する気持ちを高め、大学や地域との関わりを深める魅力的な活動を応援する、「学生チャレンジプロジェクト」が始動。9つの団体がそれぞれのプロジェクトに挑戦した。

 講義や課外授業だけでなく、積極的に地域と関わり挑戦する心を持って欲しいという願いで始まった「学生チャレンジプロジェクト」。その根底には、山形大学の教育ビジョンのひとつである「挑戦する心を育む」というテーマがある。
 今回は、①地域を元気にする、②山形大学を元気にする、③自分たちの夢を叶える、この3つをテーマとし、2022年6月末に募集を開始。実施された9つのプロジェクトには、それぞれ30万円を上限に活動資金が支援された。約7ヶ月の活動期間を経て、2023年2月に活動報告会が行われた。
 参加した学生たちは、プロジェクトを通して感動や充実感を深く感じ、授業やサークル活動とは違った学びを得たようだ。なかには地域住民や行政とのすり合わせに積極的に動いたプロジェクトもあり、報告会に出席した玉手学長は「学生が地域に入り込むのはなかなか難しい。この最初のハードルを超えた成果は大きい」とコメント。大学生活の中では、ゼロから1をつくるプロセスを経験できる機会は少ない。コロナ禍の状況もあいまって、学生たちの意欲を後押しし、新たな出会いや成長を促す貴重な機会となった。
 「今回の最大のアウトカム(本質的な成果)は、皆の経験値が広がったことでしょう。この経験を通じて、実行可能な計画の感触を掴んだはず。今後も失敗を恐れず挑戦してほしい」と玉手学長。学生チャレンジプロジェクトは来年度も継続されるとのことで、学生たちから次はどんなプロジェクトが立ち上がるのか、期待が高まる。

きっかけばしプロジェクト

きっかけばしプロジェクト

きてけろ寄席 ~やまがたおやこ落語会~

きてけろ寄席~やまがたおやこ落語会~

山形勝手に観光大使

山形勝手に観光大使

しぜんとあそぼう♪

しぜんとあそぼう♪

おじいちゃん・おばあちゃん孝行

おじいちゃん・おばあちゃん孝行

米沢にいる日本人と外国人をつなげる

米沢にいる日本人と外国人をつなげる

文化財3Dモデル化 プロジェクト

文化財3Dモデル化プロジェクト

Unityを使用してオリジナルの VRゲームを作ろう

Unityを使用してオリジナルのVRゲームを作ろう

 今回は、実施されたプロジェクトの中から2つを紹介する。

きてけろ寄席
〜やまがたおやこ落語会〜
熊水&千早

【メンバー】佐藤麗水(代表者) 早川竣
【プロジェクトの目的】「やまがた親子寄席」を開催し、日本の伝統話芸である落語を通して笑いを届け、自分たちの住んでいる地域を笑顔で元気にする。

 「コロナ禍で制限された生活の中に笑いを届け、地域の皆さんを元気にしたい」という落語好きの2人によるプロジェクト。シェルターインクルーシブプレイスコパル(山形市南部児童遊戯施設)を会場に、親子に向けた「やまがた親子寄席」を企画・開催した。落語を演じるのは、なんとメンバー自身。運営と同時進行で、各自が落語の練習を積み重ね本番に挑んだ。
 最も意識したことは古典的なイメージの落語を子どもにどう届けるか。会場や演目の選定、独特な言い回しにアレンジを加えるなど工夫を凝らした。最終的に、落語入門としてわかりやすく説明する演目と実際の落語を組み合わせた構成となり、終演後には「面白かった」や「落語をやりたい」といった感想をもらうことができた。「難しい言葉を言い換える工夫を加えていましたが、本番ではその前に笑いが起きました。子どもたちは想像よりも話を理解する能力が高かったです。また、予想外のお客様の反応に焦る場面があり、柔軟な問題解決力の必要性を感じました」と話し手としての感触を振り返る代表の佐藤さん。
 2人がこのプロジェクトを通じて感じたものは「笑顔や笑いの大切さ」だ。笑いが起こり、心が温まった経験から「笑顔や笑いがあるから生きていける」と実感を得た。一方で、集客の難しさという課題も。「一人では困難な企画でも、仲間とアイデアを出し合い協働することで発想の幅や内容が深まり達成できました」ゼロからプロジェクトを遂行する体験を通して、これまでにない達成感を味わえる機会となったようだ。

きてけろ寄席~やまがたおやこ落語会~の本番の様子

落語をする熊水さん。「笑顔や笑いの大切さ」を実感し、このプロジェクトに手応えを感じることができた。

しぜんとあそぼう♪
どんぐりの会

【メンバー】瀬谷匡史(代表者) 粕谷亜衣 門脇彩花 後藤崚吾 高橋音々 古屋怜那 石山七夏 佐藤陽理 庄司杏菜 関茜音
【プロジェクトの目的】まず、地域の子どもたちが山形県の自然の素晴らしさを実感し、子どもたちの自然を愛する心を育てることを目指す。そして、SDGs達成に向けて、子どもたちと一緒に持続可能な社会について考えていく。

 パソコンやスマートフォンなどの普及により、室内でSNSやゲームに夢中になっている子どもたちが多いという現状に対し、山形の自然の素晴らしさを提案する「どんぐりの会」。同じ研究室のメンバーというチームワークを活かし、山形市内の小学生と保護者に向け「ネイチャーゲーム体験」と「蜜蝋キャンドル作り」を実施した。小さい子どもから大人まで一緒に楽しめる活動、そして親子の関わりを意識した内容で、「山形村山ネイチャーゲームの会」と「ハチ蜜の森キャンドル」から協力を得ることができた。
 いざ募集が始まると予想を上回る応募があり、実施後のアンケートでは参加者の100%が楽しかったと回答。その理由として「市内の小学校にチラシやポスターを配布することができたことと、お招きした講師とメンバーで活動の目的をしっかりと共有できた結果では」と振り返る。
 一方で苦労したのは、メンバー同士の情報共有やスケジュール調整。これにはSNSを活用したり、当日のスケジュールを細かく設定し、予測される怪我や危険箇所を共有するなど工夫を凝らした。蜜蝋キャンドル作りでは各テーブルに1人以上の学生を配置し参加者とコミュニケーションを図りながら支援することを徹底した。
 プロジェクトを通し、「何を目的に行うのか」「どうなってほしいか」という目的や願いを明確化し、メンバー同士で共有することの大切さを学ぶことができたというのがなによりの成果だ。今後は自然体験活動の指導者としての能力を向上させて、自分たちだけでやってみたいと話す。

しぜんとあそぼう♪の様子

プロジェクトの様子。子どもたちを楽しませる発想力だけでなく、チームワークの重要性も学ぶことができた。

※内容や所属等は2023年3月当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌
「みどり樹」Vol.83
(2023年4月発行)にも
掲載されています。

[PDF/3.7MB]

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