まなぶひと #30

玉井史保子

玄米豆腐を考案、
編入生が学部生で論文出版の快挙。

2021.11.30

玄米豆腐を考案、編入生が学部生で論文出版の快挙。

 栄養士養成の短大卒業後に、「やっぱり食品開発について学びたい」と強い意志で本学農学部に編入した玉井史保子さん。ところが、編入してすぐにコロナ禍で授業のほとんどがオンラインに変更。3年次前期に、実験や実習を通して学び吸収する、そんな大切な機会を奪われてしまったのだ。人一倍意欲に燃えていただけに玉井さんの落胆は大きかった。後期になって配属した研究室の永井先生はこうした状況を察して、前期分の遅れを取り戻すかのように基礎実験や応用実験、加工実習などをみっちり指導してくれた。本来であれば外部企業と連携し、食品開発に取り組むなどの経験もできたはずだが、コロナ禍によってそれも叶わず。そこで、代替ミッションとして永井先生が用意したのは「地域の課題解決に向けた研究を実践し、在学中に論文を学会誌に出版する」という課題。論文出版といえば、院生がようやく達成できるレベル。そんな超難関ミッションに玉井さんは挑み、見事にクリアしたのだ。しかも玉井さんの場合は、編入生であったため不足分の単位を取得するための履修科目も多く、通常の授業と並行しての食品開発から論文執筆を華奢な体で頑張った。結果、3年次の3月に論文投稿。2カ月後には異例の早さで受理され、10月に論文出版の運びとなった。
 玉井さんが開発したのは、玄米を用いた加工食品「玄米豆腐」。米の消費量減少という地域の課題解決に向けて、玄米の栄養価の高さと副食目的の開発例がほとんどないことに着目。山形県産はえぬきから調製した玄米粉を用い、やわらかくて玄米色の強い玄米豆腐を開発した。胡麻豆腐やくるみ豆腐のように、副食として新たな食文化として定着、継承されればと願っている。玉井さんは、論文出版という目標達成後も玄米豆腐の更なる改良に向けて実験と研究を継続しており、それを卒業研究にまとめて卒業後は企業に就職予定だ。達成感たっぷりの充実した大学生活を糧に、新しいフィールドでも活躍してくれることだろう。

和やかなディスカッション風景

永井研究室の和やかなディスカッション風景。永井先生の指摘に納得顔の玉井さん(中央)と同期の浅野さん。先生が出すハードな課題も必死でクリアする頑張り屋の2人。

基礎実験や加工実習に取り組む玉井さん

コロナ禍のオンライン授業で実験などはほとんどできなかった3年次前期。研究室配属後は、永井先生の計らいで基礎実験や加工実習に取り組むことができたため、今回の結果に繋がった。

たまいしほこ

たまいしほこ●農学部4年。秋田県出身。食品開発研究がしたいと岩手県立大学盛岡短期大学部から編入。「玄米豆腐」を開発し、学部生で論文出版するという快挙を達成。

※内容や所属等は2021年3月当時のものです。

みどり樹

この内容は
山形大学広報誌「みどり樹」
Vol.30(2021年10月発行)にも
掲載されています。

[PDF/3.7MB]

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